ストーリー


第10話:テーマ
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「……ニッと微笑んでそれっぽくまとめてるけど、なんか変な人混じってたよね?」
 アツマは冷静に突っ込みを入れた。
「変な人?」と、ニボシは怪訝そうに答える。
「まず、ジュンジュンは『女子高生からもらった』って言ってたけど、それって、選ばれたのはその女子高生ってことなんじゃないの?」
 その質問に、ニボシは一瞬で眼の色を変えた。そして一気にまくし立てた。
「いいところに気付いたね、アツマ。確かにジュンジュンよりも女子高生を登場させた方が視聴率は取れると思う。でも、なんでもかんでも数字を優先するような番組作りは、結果的に視聴者の心を作品から遠ざけることになると思うの。だからここは心を鬼にしてジュンジュンで我慢しましょう」
「……いやあの、おっしゃってることの意味がよく理解できないのですが」
「師匠、ジュンジュンが敵にやられたら、真の戦士として女子高生が登場するという設定はどうでしょうか?」と、タムタムが割って入った。
「すばらしいアイデア! 『女子高生からもらった』を話の伏線として活かすわけね。じゃあ、第25話ぐらいでジュンジュンにはやられてもらいましょう」
「えーっ」ジュンジュンが絡んできた。「俺、やられちゃうの?」
「変身シーンにも乞うご期待っすね!」タムタムはジュンジュンを無視して続けた。
「もちろん! キューティーハニーも真っ青……いいえ、真っ赤になるようなやつを準備するわ」
「え、ちょっとそれ、俺、やられちゃってるから見れないじゃん」と、ジュンジュンが悔しがる。
「……あの、すいません。」繰り広げられる会話にアツマは業を煮やし、ドスの利いた声で言った。「真面目にやってもらえませんか?」
 ニボシはピクッと髭を震わせて反応した。
「……ごめんなさい。本業の癖で、つい熱くなっちゃって」
「本業?」
「あ、こっちのこと。気にしないで。」
 ニボシは興奮冷めやらぬといった感じでモゾモゾと首を回すと、「ハァ」とひとつ息を吐いて呼吸を整えた。
「で、他に質問は? さっき『まず』って言ってたよね?」
 明らかにニボシの様子は不審だったのものの、今に始まった怪しさでもないので、アツマは「本業」についてはひとまず追及しないことにした。
「……うん。それから、えっと、カツミさんの『マルチカラー』って、かなり異質だと思うんだけど」
「大丈夫。さらっと流しておいて。アニメ化か実写化されない限りは問題にならないから」
「……どういう意味?」
「変身後の絵を描くとしたら面倒だけど、ラノベなら読者が勝手に妄想してくれるでしょ」
「……もういいです。質問した自分が愚かでした」
「あぁもー、ごめんね、アツマ。どうしても血が騒いじゃうの」と、ニボシは地団太を踏んだ。
「血、ねえ」
「あのね、……わかった。ちゃんと話す。」ニボシはコホンとひとつ咳払いをした。「私はバスターガイザー研究開発部特撮部門戦隊担当の研究員だったの」

「……アツマとタムタムにはさっき少し話したけど、ギガスパイアに支配された26世紀では、ありとあらゆる芸術活動が『無駄なもの』として禁止されているの。そして当然、歌も、絵も、小説も、お芝居も、みんなだんだんと人々のなかから消えていってしまった……」
 7人のメンバーはニボシを囲むようにして床に座って話を聴いている。ニボシは窓の外に何かを見るように、視線を遠くに移してゆっくりと言葉を紡いだ。
「私たちバスターガイザーは、ギガスパイアに対抗するために結成された秘密結社。私たちは、ギガスパイアが抹殺しようとした芸術にこそ、ギガイスパイアを倒す鍵があると睨んだの。そして、残された資料から各分野の芸術を研究することによって、ついに、アートエナジーという未知の物質を抽出することに成功した。
 イメージしにくいかもしれないけれど、歌には歌の、絵には絵の、アートエナジーがあるの。とっても細かく分かれてる。だから、部門を細分化して、それぞれの担当領域を決めた。そのなかで私が担当していたのが、いわゆる『スーパー戦隊シリーズ』を中心とした戦隊物の研究だったの。
 だから私の頭の中は、21世紀で言うところの戦隊ヲタみたいな感じになっちゃってる。で、この状況でしょう? いろいろとこう、設定に関しては燃えちゃうのよね」
「じゃあ、『超機動合唱戦隊』っていうのはニボシが作った空想の産物ってこと?」と、コジコジが尋ねた。
「確かに命名したのは私。だけど、基本的な構想は26世紀の時点で出来上がっていたわ。そして今、あなたたちが実際にアートストーンに選ばれた。これは紛れもない真実」
「ニボシが研究してたのは戦隊物なんだよね? だとすると、この石に入ってるのが戦隊のアートエナジーじゃなくて合唱のアートエナジーっていうのはどういうことなの?」と、今度はマオウが質問する。
「合唱の研究は、もちろん合唱の担当者が行っていたわ。でも事情があって、私が合唱のアートストーンにくっ付いてきちゃったの」
「事情?」
「……研究所が攻撃を受けて混乱してたから」
「……攻撃? ギガスパイアに?」
「……この話は、また今度、ね」そう言うと、ニボシはスッと立ち上がった。
「ねえ、みんな、出会ったばかりなのに申し訳ないけど、ひとつ、どうしてもお願いしたいことがあるの。……さっき、みんなの歌を聴いていて確信を持った。お願い! この歌をみんなに歌って欲しいの!」
 ニボシはお腹の辺りから小さな紙切れを取り出して床に置いた。すると、その紙切れはみるみるうちに大きくなって、ちょうどA4サイズの数枚の楽譜へと変形した。
「こ、これは!?」
 メンバーは楽譜にぐっと顔を近づけた。そしてゴツンっと頭をぶつける。
 ニボシはニコッと微笑み、そして高らかに宣言した。
「『超機動合唱戦隊バスターガイザーのテーマ』……あなたたちのテーマソングよ」


第11話へ続く



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Theme Song

超機動合唱戦隊バスターガイザーのテーマ2014
(楽譜)  (歌詞)  (演奏)

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